2026年のAIコーディングルールは3つの形式が主流になっている。Cursor向けの.cursorrules、Claude Code向けのCLAUDE.md、そしてマルチエージェント環境向けのAGENTS.mdだ。プロジェクトにAIルールを設定するなら、これらのどれかひとつ(または複数)を選ぶ必要がある。
このガイドでは、数千のリポジトリの実際の使用状況を元に3つの形式を比較する。それぞれが何をするもので、どこで威力を発揮し、どこが弱いのか、そしてどれを選ぶべきかを整理する。
結論を先に
今すぐ答えが欲しい人向けに:
- Cursorしか使わない →
.cursorrules - Claude Codeしか使わない →
CLAUDE.md - チームで複数のAIツールを使っている →
AGENTS.mdをベースに、必要に応じてツール固有のファイルを追加 - OSSプロジェクトのメンテナ → 最大互換性のために
AGENTS.md、Claude Codeユーザーが多いならCLAUDE.mdも併設
それぞれ詳しく見ていこう。
.cursorrules
どんなファイルか
.cursorrulesはリポジトリのルートに置くファイルで、Cursor AIが自動で読み込む。プロジェクトでのコード生成・修正方法を定義する。Cursor採用の初期から存在しており、コミュニティが公開したサンプルの数も最多だ。
フォーマットと書き方
.cursorrulesはプレーンテキストだ。正式なスキーマはなく、自然言語で指示を書いてCursorが解釈する。多くのファイルはロール定義から始まり、具体的なルールが続く。
You are an expert in TypeScript, React, and Next.js.
Code Style:
- Use functional components with arrow functions
- Prefer named exports
- Use TypeScript strict mode
Architecture:
- Server Components by default
- Data fetching in server components only
Next.js + TypeScript .cursorrules(1,240スター)がこのパターンの代表例として最も人気が高い。
強み
エコシステムが巨大。 awesome-cursorrulesコレクションには、ほぼあらゆるフレームワーク・言語の組み合わせをカバーするルールが数千件ある。
書き方がシンプル。 スキーマを覚える必要がない。自然言語で指示を書いてブラッシュアップするだけ。
IDEとの連携がシームレス。 Cursorがファイルをそのまま読んでくれる。設定不要で、リポジトリに置くだけ。
フレームワークの網羅範囲が広い。 Next.js、SvelteKit、Vue/Nuxt、Rails、Flutterなど多数対応。
弱み
Cursor専用。 他のAIツールはこのファイルを完全に無視する。チームのメンバーがClaude CodeやCopilotを使っていても、何のガイドも提供されない。
階層構造がない。 ルートに1ファイルのみ。サブディレクトリのオーバーライドやモノレポ設定の仕組みがない。
正式な仕様がない。 ドキュメント化された仕様がなく、何が効果的かはコミュニティの試行錯誤から学ぶしかない。
ファイル名の問題。 .cursorrulesという名前がCursor固有で、ツールを知らない開発者には意図が伝わらない。新しいCursorバージョンでは.cursor/rules/*.mdcファイルもサポートされているが(MDC Rules Guide参照)、エコシステムが分散する要因にもなっている。
こんな人向け
Cursorをメインエディタとして使っていて、他のAIツールをサポートする必要のないソロ開発者・小規模チーム。
CLAUDE.md
どんなファイルか
CLAUDE.mdはClaude Codeがセッション開始時に読み込むMarkdownファイルだ。Anthropicがエージェント型ワークフローの一部として導入し、コードベースでのClaudeの動作を設定する標準的な方法として定着している。
フォーマットと書き方
CLAUDE.mdは標準的なMarkdownだ。見出し、リスト、コードブロックなど全てのMarkdown機能が使える。人間が読んでも分かりやすい。
# Project
A Next.js 14 application using the App Router.
## Code Style
- TypeScript strict mode, no `any`
- Functional components only
- Named exports preferred
## Commands
- `pnpm dev` — Start dev server
- `pnpm test` — Run tests with Vitest
Anthropic公式のCLAUDE.mdガイドが標準的な構成を示している。
強み
階層的な設定が可能。 リポジトリルート、サブディレクトリ、ユーザーレベル(~/.claude/CLAUDE.md)にCLAUDE.mdを配置できる。Claudeがこれらをインテリジェントにマージする。モノレポに最適だ。
リッチなフォーマット。 Markdownなので見出しで構造化し、コードブロックでサンプルを示し、リストでルールを書ける。構造自体がドキュメントになる。
Anthropicの公式サポート。 CLAUDE.mdはAnthropicの公式フォーマットで、Claude Codeでの最優先サポートを受けている。
大規模プロジェクトでの採用実績。 世界最大のOSSプロジェクトがCLAUDE.mdを採用している:Next.js(138Kスター)、LangChain(128Kスター)、Excalidraw(118Kスター)、Deno(106Kスター)。
AGENTS.mdと共存できる。 Claude CodeはAGENTS.mdも読み込むので、必要なら両方使える。
弱み
Claude Code専用(メイン読者として)。 他のツールも理論上は読めるが、CLAUDE.mdはClaude Code向けに設計されている。
長くなりすぎる傾向がある。 Markdownが詳細な記述を促すため、CLAUDE.mdが有効な長さを超えて肥大化することがある。500行以内が理想だ。
プログラムからのアクセス手段がない。 CLAUDE.mdの内容を照会したり検証したりするAPIはない。Claudeが会話として読むテキストファイルに過ぎない。
こんな人向け
Claude Codeを頻繁に使うチーム、特に階層的なファイルシステムが大きなアドバンテージになるモノレポプロジェクト。MarkdownフォーマットはAIだけでなく人間も読めるので、Claude Codeを使うコントリビューターがいるOSSプロジェクトにも最適だ。
AGENTS.md
どんなファイルか
AGENTS.mdはツールに依存しない設計の、比較的新しい標準だ。n8nやGrafanaなどのプロジェクトで普及が進み、Claude Code、OpenAI Codex、その他のAIコーディングエージェントが読み込める汎用フォーマットを提供する。
AGENTS.mdスペック(60Kスター)はこれをマルチエージェント開発環境のユニバーサルフォーマットと位置づけている。
フォーマットと書き方
CLAUDE.mdと同様に標準的なMarkdownを使う。決定的な違いは意図だ:AGENTS.mdは特定ベンダーのツールではなく、あらゆるAIエージェント向けに書かれる。
# AGENTS.md
## Project Context
This is a Go microservice using the standard library's ServeMux.
## Coding Standards
- Follow Go idioms: short variable names, error wrapping
- Tests go in _test.go files alongside source
- Use table-driven tests
## Agent Instructions
- Run `go test ./...` before submitting any changes
- Do not modify files in vendor/
強み
ツール非依存。 Claude Code、OpenAI Codex CLI、増加中のAIコーディングツールが読み込む。1ファイルで複数のエコシステムをカバーできる。
マルチエージェントワークフロー向けに設計。 プロジェクトがコード生成・テスト・レビューに複数のAIエージェントを使っている場合、AGENTS.mdで各エージェントの役割を定義できる。
大規模プロジェクトでの広範な採用。 n8n(178Kスター)、awesome-go(167Kスター)、LangFlow(145Kスター)、llama.cpp(97Kスター)、Bun(82Kスター)などが採用。
CLAUDE.mdと同様の階層構造。 サブディレクトリにAGENTS.mdを置くことでモノレポに対応できる。
将来性がある。 新しいAIコーディングツールが登場するたびに、ベンダー固有のフォーマットよりAGENTS.mdをサポートする可能性が高い。
弱み
新しく、まだ確立途上。 サンプルのエコシステムは.cursorrulesより小さいが、急速に成長中。
汎用性ゆえの制約。 複数のツールをターゲットにしているため、ツール固有の機能を使えない。Claude CodeにはAGENTS.mdでは対応できないサブエージェント委譲などの機能がある。
ツール固有の最適化ができない。 各AIツールはMarkdownをそれぞれ異なる方法で解釈する。Claude Codeで完璧に機能する書き方がCodexではあまり効かない場合もある。
こんな人向け
異なるAIツールを使う多様なコントリビューターがいるOSSプロジェクト。単一の情報源を持ちたいチーム。複数のAIコーディングエージェントを使うプロジェクト。
機能比較
ツール対応
| 機能 | .cursorrules | CLAUDE.md | AGENTS.md |
|---|---|---|---|
| Cursor | ○ | × | × |
| Claude Code | × | ○ | ○ |
| OpenAI Codex | × | × | ○ |
| GitHub Copilot | × | × | 一部対応 |
| その他のツール | × | × | 対応拡大中 |
機能面
| 機能 | .cursorrules | CLAUDE.md | AGENTS.md |
|---|---|---|---|
| サブディレクトリファイル | ×(新版では.cursor/rules/が使用可) | ○ | ○ |
| ユーザーレベル設定 | × | ○(~/.claude/) | × |
| Markdownフォーマット | 非公式 | フル対応 | フル対応 |
| 正式な仕様 | なし | Anthropicドキュメント | コミュニティ仕様 |
| コミュニティサンプル | 2,000件以上 | 500件以上 | 300件以上 |
大規模プロジェクトでの採用傾向
大規模プロジェクトは概ねコントリビュータ層に合わせたフォーマットを選んでいる。
- JavaScript/TypeScriptエコシステム: CLAUDE.mdとAGENTS.mdに分かれる。Next.jsはCLAUDE.md、n8nはAGENTS.md。
- Goエコシステム: AGENTS.md優勢。awesome-go、Grafana、CockroachDBが採用。
- Rustエコシステム: 混在。DenoはCLAUDE.md、llama.cppはAGENTS.md。
- Pythonエコシステム: CLAUDE.md寄り。LangChainとBrowser Useが採用。
複数フォーマットを使う
多くのチームが複数のフォーマットを並行して運用している。こういうケースで実用的だ:
- チームがCursorとClaude Codeを両方使っている。 Cursorユーザー向けに
.cursorrules、Claude Codeユーザー向けにCLAUDE.mdを維持する。 - OSSプロジェクト。 広い互換性のために
AGENTS.mdを公開し、Claude固有の最適化のためにCLAUDE.mdを追加する。 - 移行パスを作りたい。 現在のツールのフォーマットから始め、汎用ベースラインとして
AGENTS.mdを追加していく。
重要なのはファイルを同期させること。.cursorrulesには「Vitestを使う」と書いてあるのにCLAUDE.mdには「Jestを使う」と書いてあれば、コントリビュータは一貫性のない結果を受け取ることになる。
実用的なアプローチ:1つの正典ドキュメント(AGENTS.md)を維持し、そこからツール固有のファイルを生成するか、全てのファイルが参照する共有セクションを持つ。
移行ガイド
.cursorrulesからCLAUDE.mdへ
.cursorrulesの内容を新しいCLAUDE.mdファイルにコピーする。- Markdownの見出しでセクションを整理する(Code Style、Architecture、Commandsなど)。
- 冒頭にプロジェクト概要の段落を追加する。
- Cursor固有の指示を汎用的な指示に変換する。
- Markdownコードブロックを使ったコード例を追加する。
- モノレポのルールはサブディレクトリのCLAUDE.mdファイルに分割することを検討する。
CLAUDE.mdからAGENTS.mdへ
CLAUDE.mdの内容を新しいAGENTS.mdファイルにコピーする。- Claude固有の表現(「Claude Code」「Claudeセッション」などへの言及)を削除する。
- Claude固有の機能への言及を汎用的なエージェント指示に置き換える。
- プロジェクトがマルチエージェントワークフローを使っているなら、各エージェントの役割に関するセクションを追加する。
.cursorrulesからAGENTS.mdへ
.cursorrulesの内容を新しいAGENTS.mdファイルにコピーする。- Markdown構造(見出し、コードブロック、リスト)を追加する。
- プロジェクト概要のセクションを追加する。
- Cursor固有の言及を削除する。
- 少なくとも2つの異なるAIツールでテストして互換性を確認する。
結論
2026年の現実として、多くの開発者にとって実用的なアプローチはこうだ:
- メインツールに合ったフォーマットから始める。
- チームやコントリビュータが複数のツールを使うようになったら
AGENTS.mdを追加する。 - ファイルを短く具体的に保つ。 メンテされている200行のファイルは、古くなった800行のファイルより価値がある。
- 四半期に1回見直す。 AIツールの進化は速い。3ヶ月前に書いたものは更新が必要かもしれない。
実際のプロジェクトがそれぞれのフォーマットをどう実装しているかは、コレクションで確認できる:
- CLAUDE.mdルール集 — Claude Code設定の全事例
- .cursorrulesルール集 — Cursor設定の全事例
- AGENTS.mdルール集 — AGENTS.md設定の全事例
- 全ルールギャラリー — 全フォーマットを網羅
よくある質問
Cursorしか使わない場合、どのフォーマットを選べばいいか?
.cursorrulesを選ぶ。Cursorのネイティブフォーマットであり、設定不要でそのまま動く。コミュニティのサンプル数も最多だ。チーム全員がCursorを使っているなら、CLAUDE.mdやAGENTS.mdを追加するメリットはない。
.cursorrulesとCLAUDE.mdを同じリポジトリに共存できるか?
できる。多くのチームが.cursorrules(Cursorユーザー向け)とCLAUDE.md(Claude Codeユーザー向け)を並行して運用している。Claude Codeは.cursorrulesを読まず、CursorはCLAUDE.mdを読まないため、競合は発生しない。注意点は規約変更時に両ファイルを同期させることだ。
Claude Codeユーザーにとって、AGENTS.mdはCLAUDE.mdより優れているか?
Claude Code固有の機能という観点では、CLAUDE.mdの方が優れている。Claude Codeはどちらのファイルも読むが、CLAUDE.mdだけが階層構造、@import構文、パス指定ルール、ローカルオーバーライドなどのClaude Code固有機能にアクセスできる。Claude Codeのみを使うチームならCLAUDE.mdが最適だ。Claude Code、Codex、Cursor等のツール横断で共通の指示ファイルを持ちたいならAGENTS.mdが適切。
.cursorrulesからCLAUDE.mdへ移行する手順は?
.cursorrulesの内容をそのまま新しいCLAUDE.mdファイルにコピーする。Markdownの見出しでセクションを整理し(コードスタイル、アーキテクチャ、コマンドなど)、冒頭にプロジェクト概要の段落を追加する。Cursor固有の表現は汎用的な指示に変換する。モノレポの場合は、ルールをサブディレクトリのCLAUDE.mdに分割することを検討する。
CursorとClaude Codeを両方使うチームで、CLAUDE.mdとAGENTS.mdの実用的な使い分けは?
Cursorユーザー向けに.cursorrules、全ツール共通のベースラインとしてAGENTS.md、Claude Code固有の最適化としてCLAUDE.mdを維持するのが実用的だ。最重要ルール:コードスタイル・コマンド・アーキテクチャ等の核心的な規約は全ファイルで一致させること。CLAUDE.mdはClaude Code固有の機能が必要な指示だけに使い、AGENTS.mdの内容を重複させない。
GitHub Copilotはこれらのファイルをどれかでもサポートしているか?
GitHub CopilotはAGENTS.mdを部分的にサポートし、独自の.github/copilot-instructions.mdフォーマットも読む。.cursorrulesとCLAUDE.mdは読まない。GitHub Copilotとの互換性が重要なら、AGENTS.mdがCopilotのエージェントモードで最もサポートされる可能性が高いフォーマットだ。
各ファイルの理想的な長さはどのくらいか?
アクティブにメンテされている200行のファイルは、陳腐化した800行のファイルより価値がある。CLAUDE.mdは500行以下を目安に、超えるならサブディレクトリファイルに分割する。.cursorrulesは300行を超えると重要なルールが無視されるリスクがある。AGENTS.mdはCodexが全ファイル合計32KiBという上限を設けている。